Mihokoブログ

家庭料理のおはなし その7:「映える」お弁当づくりは誰のため?

こんにちは。
正しい手抜きメソッド・おだしマジック! 家庭料理研究家の高窪美穂子です。

7月も半ばに入り、いろいろありますが学校も授業はほぼ通常通りになって、日々お弁当作り。お弁当記録のために写真は撮り続けていますが、あくまでそれは「記録」。いわゆる「映える」お弁当写真では全くありません。

それは、詰めてからある程度の時間が経ってから食べるお弁当だから。
お弁当について大事に思っていること、が今日のおはなしです。

そのスタートはコロナ自粛が始まった幼い頃のお弁当、記憶に残っているのは・・・

私のお弁当の一番最初の記憶は、幼稚園生のころ。

もう誰も住んでいない実家に、たぶんまだ残っているであろう小さな小判型のアルミのお弁当箱。
ハンカチに包んで持っていっていましたっけ。

お弁当にまつわる記憶で鮮明に覚えているのは、エビフライにまつわる記憶。
もう40年以上も前、冷凍食品が出回ってきている頃でした。

たぶん一緒に食べていたお友達が、冷凍食品のエビフライを持ってきていたのだと思います。
それが羨ましくて、羨ましくて。

一緒に母と買い物に行った時に「どうしてもエビフライが食べたい!!冷凍食品のエビフライを買って!」と言い張ったのだと思います。
母はきっと美味しくないだろうなー、とは思ったでしょうけれど、きっと食べればわかると思ったのでしょうね。

買ってもらって家で食べてびっくり・・・見かけは立派だけれども、実際は衣が厚く細いエビが中にシューっとあるだけ。
それから2度と「買って」とは言わなかった、今考えるとちょっと笑ってしまうお話が、お弁当にまつわる初めての記憶です。

ちょっと切なくなる理由があって、母はあまり色彩や美的なセンスはなかったので、お弁当の記憶はいつも茶色。
もちろんとても感謝していますが、料理上手の母だったけれどお弁当箱という小さな世界に詰めるのはそこまで上手ではなく・・・。
水分が出てしまったり、もありましたっけ。

今ではいい思い出ですが、あの頃はちょっと嫌だったなぁ。

高校時代は地理同好会に入っていて、先生たちも一緒に同好会のみんなと出かける時はお弁当で色々と作るのも、一緒に食べるのも楽しかったなぁ。
だったら、毎日自分で作れば良かったのに、と思うのは今の私。

立場が変われば、色々と見方も変わってくるものだなぁと改めて思います。

映えるお弁当、はいったい誰のため?

さてそこから数十年が経過し、今はお弁当を作る立場になりました。

コロナの影響で社食が閉鎖していた期間、半リモートワークの夫が出社する日のお弁当から始まり、高校に入った娘の学校が始まってからは毎日お弁当作り。
娘のリクエストを聞きながら、ゆるーく無理なく続けています。

お弁当というと、昨今は「映える」ための工夫をする人も少なくない・・・、ようです。
もちろん、きれいな彩のお洒落なお弁当は中高生時代、お弁当を持っていった頃の私にとっては憧れでした。

蓋を開けて「うわぁ、美味しそう!!」と思えるように詰めるのは、やはり楽しいですし喜んでもらえれば、次のやる気につながりますものね。

でも「映える」ことを追い求めるあまりにちょっと怖いなー、と思うようなお弁当もちらほら・・・

お弁当って、朝作って食べるのはお昼、というのがほとんど。
その間数時間、常温に置いておかなくてはいけません。

コンビニで販売されているお弁当のように、常温で長時間置いても問題が出ないように添加物が入っているわけではないこともあり、いつもの「おうちごはん」とはちょっとだけ変えないと、残念なことになりかねないのです。

仕事で原稿の監修等もしていたり、業務用の鮮度保持シートの販促に数年間関わっていた間に、いろいろ学んだこともあり「映える」お弁当の詰め方などを解説しているSNSの投稿を見ると、ヒヤヒヤします。

映えて、写真に撮っておしまい、なら良いのですが、長時間持ち歩くとなると・・・

そのお弁当は誰のために作っているの? と余計なこととはわかっていながら画面のこちら側で心配することもしょっちゅうです。

日々作るお弁当で気をつけていることは・・・

さて、それでは私がお弁当を作るときに気をつけていること、ご紹介しますね。

1つ目は、なるべく水滴を出さないことです。

お弁当の腐敗は、お弁当に詰められた中身が冷める時に出る水滴で細菌が繁殖してしまうことが原因です。

だから、本当は完全に冷めてから蓋をするのが理想ですが、それでは相当早起きしないと難しいですし、大きなプレッシャーになって心の負担になってしまいます。

私の場合、仕事で関わった鮮度保持シートが水滴予防に使えることがわかってから、お弁当箱の下と上にお弁当箱の大きさにカットしたシートをひいて、水滴予防をしています。

それにより、完全に冷まさないと、というプレッシャーから解放され、気持ちの上でずいぶん楽になりました。

2つ目はおかずの味付けです。

長時間、常温で持ち歩くお弁当なので、味付けはいつもより気持ち強めにして、十分に加熱したおかずを入れるように心がけています。

味がしっかり目についていることで、腐敗の原因となる菌の繁殖を防げるからです。

3つ目は、詰め方です。

映えるお弁当にはよくグリーンリーフなどの葉物を仕切りにして、彩よくギッチリとおかずを詰めていることが多いのですが、そこに水滴がたまりやすいのです。

1つ目でもお話しした通り、水滴は食中毒となる細菌が繁殖する場所になります。

菌全てが悪いわけではないんです。
基本的に、腐敗も発酵も同じ機序ですので・・・

でも、せっかく作ったお弁当で食中毒になってしまったら、作った側も食べた側も悲しいことになりますよね。
だから、私はアルミカップなどの間仕切りを使って、食材同志がなるべく触れ合わないように気をつけながら詰めています。

4つ目は、おかずの数にこだわらないことです。

お弁当で完全にバランスを取らなくちゃ、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

でも、マラソンのように何年も作り続けるお弁当ですから、最初頑張りすぎると息切れしてプレッシャーになり、作るのが辛くなります。

食事のバランスはお弁当1食で考える必要はなく、その日1日の食事の内容でトータルに考えればいいのです。

1日では難しければ1週間、1週間でもちょっと・・・、という時はもっと長い期間で考えて帳尻が合えば問題ありません。

だから、おかずの数には拘らないようにしています。

5つ目は、お弁当の時間が楽しい時間になるよう、どんなお弁当がいいか娘と常にコミュニケーションをとることです。

前述してきた4つの理由で、私が作るお弁当は彩りも考えて、なるべくきれいに食欲をそそるような詰め方はしますが、絶対に映えるオシャレ弁当にはなりません。

でも、常に娘のリクエストを吸い上げて、お弁当を作っているので「美味しかった!」の声と一緒に空のお弁当箱が戻ってきます。
その一言が励みになりますし、娘も満足するので、気持ちの上でお弁当を作らなくちゃ、というプレッシャーが全くありません。

さらに大変な時は手抜きもして、ちゃんと理由も言います。
だから文句も出ません。

お弁当を通してコミュニケーションをとるので、お年頃の娘が何を考えているのかもおぼろげながらも分かりますし、いいことづくめなんですよ。

大変だと負担に思うのも、肩の力を抜いて楽しみながら作るのも、捉え方ひとつで変わります。

お弁当は誰のために作るのか?

PCやスマホの向こう側にいる無数の知らない方達から称賛されるお弁当も素敵ですが、食べてくれる人が満足してくれることが、私にとっては何よりも大切。

私にとっては家族のコミュニケーションツールがお弁当作り、なんですよ。

家庭料理には、人を支える力があります。
次のコラムもお楽しみに。

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